喪失を超えて。夫を亡くした私が“人を癒す側”になるまで
喪失を超えて。夫を亡くした私が“人を癒す側”になるまで
仮名:中谷 美咲(なかたに みさき)/年齢:42歳
「美咲、ごめんね。もう、あまり時間がないみたいだ。」
病室で、夫が最後に私にそう言った日から、世界が止まったままだった。
結婚して15年。子どもはいなかったけれど、私たちは穏やかな日々を重ねていた。夫はいつも優しくて、私の話をちゃんと聞いてくれて、日曜には必ず一緒にコーヒーを飲んで、ただの当たり前を大切にしてくれる人だった。
でも、それは突然奪われた。
「あの人がいない日々に、意味を見出せなかった」
夫が亡くなってからというもの、私はすべての感情を失ったようだった。
朝、起きても意味がない。
夜、眠っても何の回復もない。
仕事も辞め、外に出る気力もなくなった私を支えたのは、姉だった。
ある日、彼女がそっと言った。
「ねえ、美咲。誰かの痛みに寄り添うってこと、自分の痛みを癒すことにもなるかもしれないよ。」
「スエルテ東京」との出会い
姉の紹介で出会ったのが、出張メンズエステ『スエルテ東京』だった。
正直なところ、最初は怖かった。
自分に“癒す”なんてことができるのか、自信はなかった。
でも、面接で出会った代表の方が静かに言った言葉が、胸に残った。
「人の悲しみを知っているあなたは、きっと誰よりも寄り添える。」
そして、セラピストとしての研修が始まった。
最初の施術で感じた“何か”
初めての出張は、50代の男性。
仕事のストレスから、眠れなくなったと話してくれた。
施術中、静かに涙を流した彼に、私はただタオルをそっとかけた。
そのとき、自分の胸の奥から何かがあふれるような、優しい感覚があった。
「ありがとう…すごく、安心したよ。」
その一言で、私は確信した。
人に寄り添うことは、自分の傷も癒すことになるのだと。
癒されていたのは、私のほうだった
不思議なことに、施術を重ねるたび、心が軽くなっていった。
「ありがとう」「気持ちよかった」「心が落ち着いた」――その言葉たちが、私に光を戻してくれた。
気づけば、私は少しずつ笑うようになり、朝が楽しみになっていた。
そして今、私は「誰かを癒す人」として、生きている。
夫にもきっと届いている
「あなたがいなくなっても、私はちゃんと、生きていくよ。」
そう胸の中でつぶやくと、空が少し明るく見えた。
スエルテ東京という場所で、私は人生を取り戻せた。
そしてこれからも、誰かの「生きる力」を少しだけ支えられる人でありたい。
――愛する人を失った私が、今は誰かの心に寄り添う側になった。
それは、思ってもみなかった再出発だった。
